プロトタイプ I

革新:スプリットサイクルエンジンの上死点後点火 (ATDC)

スプリットサイクル設計とATDC点火燃焼プロセスはScuderi エンジンの革新的な特徴です。 この組み合わせにより、真の意味でユニークな熱力学プロセスが生まれ、効率とパワーの両面で新たなレベルに到達できるのです。エレガントでシンプルな設計はエンジンの性能アップを実現します。

現在の自然給気プロトタイプエンジンで、この設計を実装できることが実証されています。 スプリットサイクルとATDC点火が現実的であり、ここを始点として多くの設計改善が行われていきます。

自然給気 (NA) プロトタイプの開発、考察および特徴

スーパーチャージ装備
スーパーチャージ装備
ミラー効果装備
ミラー効果装備
オフセットシリンダー
オフセットシリンダー

エンジン負荷制御用の吸気・排気弁:吸気・排気弁は空圧式であり、開口度とタイミングの両方が可変です。 これらの弁の開閉にはエンジンの圧縮側からの空気が使われます。 部分的に負荷がかかった状態での運転時には、これらの弁がスロットル弁の代わりとして使用され、エンジンを制御します。

連結 (クロスオーバー) 弁: 連結管の出入端にはカム駆動の弁が付いていて、外側に開くようになっています。連結弁の閉じ機構には空気バネが使われ、バネ駆動用のメークアップエアーがエンジンの圧縮側から内部的に供給されます。

連結 (クロスオーバー) 管: 連結管はエンジンの主要な制御ポイントです。圧縮後、ここで冷却されるため、ノッキングが制御されます。これは従来のエンジンでは不可能な、スプリットサイクルエンジンのみならでの特徴です。

さらに、連結管を燃焼シリンダーにどのように接続するかによって、空気と燃料の混合に大きな影響が出ます。また連結管の設計は、部分負荷のがかかった時にエンジンをどのように制御するかに対しても、重要な役割を果たします。

燃料供給システム:ユニークな噴射パターンをもつ高圧燃料直噴。Scuderi自然給気エンジンには、ユニークな噴射パターンを持った、最高200バールの高圧直噴タイプのBosch製インジェクターが使用されています。噴射パターン、圧力、インジェクションタイミングを調整することで、空気と燃料が適切に混合され、燃料が連結管内に閉じ込められるのを防止することができます。

燃焼ピストンヘッドのユニークな設計: 空気と燃料をよりよく混合させるため、ピストンヘッドに腎臓形のくぼみをつけました。これは,Scuderi社の特許の1つで、ユニークな設計です。

弁と点火のタイミング: 弁の開閉と点火タイミングをいかに組み合わせるかが、うまく燃焼させるための重要な要素になります。Scuderiエンジンは、特許取得済み弁駆動メカニズムを使用しており、燃焼シリンダーに高速で空気を送り込み、その後、点火タイミングを制御して、ATDC燃焼行程を最適化します。

弁のラッシュッ制御:開きを小さく、速いタイミングで外開きの弁を制御するには、ユニークなラッシュ制御装置が必要です。Scuderiチームは、連結管の様々な作動状況に対応できるラッシュ制御装置を開発し、特許を取得しました。

高圧と攪流

Scuderiエンジンでは、連結管内の高圧空気と燃焼シリンダー内の攪流を利用してATDC点火を達成しています。

Scuderi スプリットサイクルエンジンでは、各シリンダーが独立しているため、圧縮シリンダー内の圧縮比は燃焼工程で制限されることはありません。圧縮シリンダー内部の圧力が、従来のエンジンの燃焼時と同程度の場合、圧縮比は100:1程度になります。当社の自然給気 (NA) エンジンでは、圧縮シリンダーおよび連結管内の圧力は50バール (735 psi) 以上、ターボチャージ搭載 (TC) エンジンでは130バール (1900 psi)以上に達します。

この高圧空気が燃焼シリンダーに入ると激しい攪流が生じます。爆発時に弁をできるだけ長時間開いておくことによって、この攪流がさらに激しくなり、その結果、混合気が非常に速い速度で噴霧化し、今までになく高い火炎速度または燃焼比が得られます。開始圧力が高く、火炎速度が速いので、点火後 ATDC角度 が11~15度で燃焼が起こり、23度で終了します。この結果、従来のエンジンに比べて、効率の良い、パフォーマンスの優れたスプリットサイクルエンジンになるのです。